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鉄まかせ越前フクイ漫遊記

〜地鉄と九頭竜川とソースカツ丼と〜
伽 枕流
   さて、JR武生駅に食パンから降り立つと、ひんやり!
食パン  敦賀の手前ではまだ雪が積もっていたくらいですから、夕方の寒さがきついのは当たり前田の・・・・・と、そんなことは置いといて、駅前は高層マンションこそないものの、地元の通勤電車駅と変わらないぐらい近代的な印象(こらこら、地元の人に失礼だろうが!)。
 とにかく長時間の着席乗車で乱れた身なりを整えて、とぼとぼと武生新駅に向かいます。
 こぢんまりとしたターミナル、しかし地方鉄道の始発駅としての風格は十分、沿道から駅構内を見渡せるのもなかなか嬉しい所。
改札越し  二面四線のホームには素敵な雰囲気を醸し出す車輛達が発車を待っていました。  急行運用の連接電車200型、静岡から来たなんとも平凡なスタイルの鋼製ボギー車(平凡なスタイル・・・・「個性」への固執と軽金属規格車の氾濫で、そういうことでさえも過去のことになろうとしていますが)、ど派手な広告を全身に纏った旧型車と初期高性能車の過渡期のスタイルを示す80型、高松にも仲間が居る元名古屋市交通局の地下鉄電車・・・・
 そして北陸本線の築堤沿いに居ました、彼らが!!
 岐阜から来た新参者の低床車と並んで堂々とした古豪のオーラを発散していました、外板は歪み、錆を浮かせてはいましたが、現役のボールドウィンスタイルの弓形イコライザ台車、カンバス布の質感、ウィンドウシル・ヘッダー・・・・「旧型車」の魅力が訴えかけてくるように感じられました・・・・それが141編成。
141  さて兎に角、宿のチェックイン時間のこともあり、ダラーンと垂れたステップをどっこいしょと登り80型の各停に乗り込みました。ノスタルジックな雰囲気の車内、クロスシートにどっかりと腰掛、まずは沿線の状況を一通り見てみようと、地元訛りの世間話に包まれつつ車窓をじっと見ていました。
 早速、西武生(セイブナマではありません、念のため)の素敵過ぎる工場と駅の情景に目を奪われつつ、電車は私の地元でも聞けなくなった初期高性能車の唸りを響かせ福井市内を目指します。

 旅で違う地方に来たときに最大の旅情感を醸し出すのは地元の人々の方言ではないでしょうか、乗り込んできたご婦人方の雑談、携帯電話片手に笑いあう女子高生・・・・柔らかい感じの北陸訛り。
 何より驚いたのは市街地に入る前の九頭竜川の流れですね、脊梁山脈が北行する電車の進行方向右手に万年雪を冠してそびえ、雪解け水を湛えた川は左手に流れ行くのですから。
 えっ?何がそんなに珍しいのかって?
 小生は太平洋側の出身です、だから北向する列車から脊梁山脈は左手、川の流れは右手の太平洋にそそぐように見えるという光景が当たり前という環境で二十年生きてきたものですから、これはある意味衝撃でした、山国の人が初めて海を見たときのように。
 そんなこんなで列車は市役所前停車場に到着、宿の最寄り駅にて本日は田原町まで乗り潰さずに降車します。

 さて、その翌朝、遂にお目当ての141編成に乗り込もうとホテルを出て市役所前停留所へ・・・・おーさぶぅ!!
分岐器  アルプスからの盛大な山おろし・・・・は、無かったのですが関東育ちの私には大分こたえる寒さです。
 街は静まり返っています、平日の早朝、小生の地元横濱なぞは既に喧騒に包まれているというのに―というか市街地は眠らぬ街ですね―、トラックの轟音も無く、実に新鮮で清々しい朝を迎えられました。
 とりあえず、一通り駅前支線と福武線の分岐部を観察、車が殆ど来ないので結構大胆に道路のど真ん中まで見ることが出来ました。
 そして田原町から折り返してきた200型にどっこいしょと乗り込み、クロスシートにどっしりと座り込み一路、武生新へ向かいます。

 武生新へ到着すると、141編成は霜を纏って側線に鎮座していました。
 「こりゃー、もう駄目かな?」そう思いながら、ストーブの炊かれた暖かい待合室から登校途中の学生と銀箱を肩から提げた何人かの同業者らしき人達と共に何本か列車を流していました。
 改札の向うから眺めると、二本三線の櫛型ホームには縦列停留で六本もの列車が犇き141編成の出番は無いかもという不安に駆られ始め、数十分後、ついに80型の各停に乗り込んでしまいました。
 そうしたら何ということか、マスコンのハンドルをぶら下げた運転手が141編成に駆け寄っていくではありませんか!!
 「ふっ、不覚じゃぁ――――――!」心の中で絶叫。
 兎に角、冷静さを取り戻した小生は西武生で降車、釣り掛け車に乗れる興奮を微塵も隠そうとせずこじんまりとした路地裏のホームで列車を待つのでした。

 待合時間で周辺を散策、ほんの路地裏から一歩入ったところ転轍機やチョックが転がる資材置き場、柵など無く雑然としています、思わず模型化したくなる心象風景。
 留置線の周辺はそのまま駐車場となっており、その先端には福鉄本社の社屋がレトロな雰囲気を醸し出して建っています。振り返ると122編成が、141編成より新しい足回りを持つ同車の方が、どうやら検査中か先の引退か低床車に栓をされて本線へ出る機会を無くしているようでした。

玄関 側線
 ホームでチョコレートなぞ齧りながら待っていると轟音とともに141編成が推参!

 ステップをよじ登り、狂喜してモハに乗車、木造の内装に目を奪われつつ、発車した瞬間思わず泣きそうになりました。
 豪快な吊り掛け電動機の音!この音に間に合って本当に良かった!弓形イコライザー台車の生む滑らかなバウンド、後輩達の履くコイルバネの足回りよりよっぽど心地よい乗り心地でした。

車内 台車
 感動醒めあらぬまま、あっという間に田原町へ到着、回送の同車を見送って後発便の300二連で再び西武生へ。
 凸デキ3やヘロヘロな側線に乗ったバーフレーム台車や荒廃しかけの廃車・保留車(ワムやトに122と同型のモハ)の群れを乱写。

前面 ワム 仮台車 側面 前面
 その後、またしても取って返し、江幡駅にて途中下車、車内から目撃した「ソースカツ丼」の大看板をたよりに、何となく昨今の牛丼チェーンぽい専門店に入店、並盛を注文。
 どんぶりに小ぶりなトンカツが何枚かのり、ご飯には甘辛い焼肉のたれと中濃ソースの中間の印象のたれがかかっています、お好みで紅しょうがとマヨネーズ、キャベツなどは乗っかってないです、純粋にカツON THE ライスという構成。  では、一口・・・・・サクッ・・・・・うまぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!!!
 心の中で絶叫、さっぱりしたソースがさっくり軽く揚がったカツと白飯にぴったり!卒倒しそうでした、これで帰りがけ「ソースカツ丼のたれ」という商品をお土産にする原因となりました。
貨物電車  再び電車に乗り込み福井新へ、本当に沿道すぐ横の側線で昼寝中の同鉄のマスコットであるデキ11と怪しげな保線貨車(恐らく鉄道連隊の97式と単車の足回り)をショット。

鉄軌分界点  木田四ツ辻で定番の構図を撮ると田原町へ移動、それにしても軌道区間の停留所の細いこと細いこと、1m無い様子。

電停
 田原町からテキに会いに京福電車へ、勝山まで乗り潰して折り返し、福井口周辺を徘徊し、沿道からお目当てのテキ3+トをショット。
 最後に福井市内へ愛知環状出身の200に揺られ帰還し宿でばったり・・・・ そうして二日目も終了と相成りました。

元阪神車単行 テキ
次回へと続く・・・・?
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